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中心性漿液性脈絡網膜症

視界の真ん中が暗い・小さく見える・ゆがむ——働き盛りの世代に起こりやすい、網膜の中心に水分がたまる病気です。

こんな症状はありませんか?
  • 視界の真ん中だけが薄暗く、うすい膜がかかったように見える
  • 片方の目で見ると、ものが実際より小さく見える・左右の目で大きさが違って見える
  • まっすぐな線が、ゆがんで・波打って見える
  • 色が薄く、くすんで見える気がする
  • 視力は大きく落ちていないのに、なんとなく見えづらい

中心性漿液性脈絡網膜症とは

中心性漿液性脈絡網膜症(ちゅうしんせいしょうえきせいみゃくらくもうまくしょう)は、網膜(目の奥にある、光を感じるフィルムのような膜)の中心にある「黄斑(おうはん)」の下に、水分がたまってしまう病気です。網膜のさらに外側には「脈絡膜(みゃくらくまく)」という血管の豊富な膜があり、ここから漏れ出た水分が網膜の下にたまることで、黄斑の部分だけが浅く浮き上がった状態になります。

目の断面図:角膜・水晶体・網膜など目の構造を示すイラスト
目の断面のイメージ。目の奥の網膜の中心「黄斑」の下に水分がたまることで症状が出ます

黄斑は、文字を読む・人の顔を見分けるなど「ものを見る」働きの中心を担う場所です。そこが水分で浮き上がるため、視界の中心の見え方だけが変化するのが特徴で、多くの場合は片方の目に起こります。30〜50代の働き盛りの男性に多いと報告されており、名前は長くて難しそうですが、眼科では比較的よく出会う病気のひとつです。

病名は、「中心性」=ものを見る中心である黄斑のあたりに起こること、「漿液性(しょうえきせい)」=血液の液体成分のような水分がたまること、「脈絡網膜症」=脈絡膜と網膜にまたがる変化であること、をそれぞれ表しています。「目の奥の中心に水分がたまる病気」と読みかえると、イメージしやすいかもしれません。

原因と関係する要因

なぜ脈絡膜から水分が漏れ出すのか、その仕組みは完全には解明されていません。ただ、次のような要因との関連が報告されています。

  • 精神的・身体的ストレス:仕事の繁忙期や睡眠不足など、心身に負担がかかる時期に発症したという方が少なくありません
  • ステロイド薬の使用:飲み薬・点滴・塗り薬など、ステロイド薬の使用との関連が報告されています
  • 喫煙:喫煙との関連も報告されており、禁煙が勧められます
  • 妊娠:妊娠中に発症することがあると報告されています

ステロイド薬を使用中の方でも、お薬はもとの病気の治療に必要なものです。自己判断で中止せず、必ず処方している医師にご相談ください。

主な症状

  • 中心が暗く見える(中心暗点):見ようとする真ん中だけが薄暗く、膜がかかったように感じます
  • 小さく見える(小視症):水分で網膜が浮き上がることで、ものが実際より小さく見えることがあります
  • ゆがんで見える(変視症):まっすぐな線が波打って見えます
  • 色が違って見える:色が薄く、くすんで見えることがあります
  • ピントが合いにくい:一時的に遠視のような状態になり、視力が少し下がることがあります

視力が大きく落ちないことも多いため、「疲れ目かな」と見過ごされがちです。しかし、片目ずつ見比べると「真ん中だけおかしい」ことにはっきり気づけるケースが多い病気です。気になったら、片方の目を手で隠して、左右それぞれの見え方を確かめてみてください。

当院での検査

視力検査・眼圧検査に加え、瞳孔を広げて目の奥を詳しく調べる散瞳検査などの眼底検査を行い、黄斑の状態を確認します。あわせて、OCT(光干渉断層計:網膜の断面を撮影する検査)で、網膜の下にたまった水分の量や広がりを確認します。OCTは痛みのない短時間の検査で、たまった水分が引いていく過程を目に見える形で確認できるため、この病気の診断と経過観察に役立ちます。

経過が典型的でない場合や、治療の検討のために造影剤を使った詳しい検査(蛍光眼底造影検査)が必要と判断した場合は、連携する医療機関をご紹介します。

※散瞳検査のあとは数時間まぶしさ・見えづらさが続くため、お車・バイク・自転車での来院はお控えください。散瞳検査は午前12時まで・午後16時までの受付にご協力をお願いします。

治療の考え方

中心性漿液性脈絡網膜症の多くは、数か月ほどで水分が自然に吸収され、軽快するとされています。そのため、まずはOCTで水分のたまり具合を確認しながら経過観察を行うのが基本です。あわせて、睡眠や休養をしっかりとる、ストレスをためこまないなど、生活面の見直しもお勧めしています。ステロイド薬を使用中の方は、処方している医師と相談のうえで、お薬の内容を見直せるかどうかを検討することがあります。

一方で、水分がなかなか引かない場合(遷延例)や再発を繰り返す場合には、水分の漏れ出している部位へのレーザー治療などが検討されることがあります。当院で診察・検査を行い、レーザー治療など専門的な治療が必要と判断した場合は、連携する医療機関をご紹介します。紹介後の経過観察は当院で継続して行いますので、通い慣れた環境で治療を続けていただけます。

日常生活で心がけたいこと

  • 睡眠・休養をしっかりとる:発症や再発とストレス・疲労との関連が報告されています。忙しい時期こそ、意識して休養をとりましょう
  • 禁煙:喫煙はこの病気との関連が報告されており、目の健康全般のためにも禁煙が勧められます
  • ステロイド薬を自己判断でやめない:処方している医師にご相談ください。市販の塗り薬などにステロイドが含まれていることもあるため、受診の際は、使用中のお薬をお薬手帳などで教えてください
  • 片目ずつのチェックを習慣に:カレンダーの罫線などを片目ずつ見て、「暗い・小さい・ゆがむ」ところがないか、月に1回ほど確認しましょう

経過観察中、「水分が引いたかどうか」はご自身の感覚だけでは分かりにくいことがあります。症状が良くなったと感じても、指示された受診間隔での検査は続けていただくようお願いします。

受診の目安——「自然に治る」でも自己判断はせずに

この病気は自然に軽快することが多い一方で、注意したい点が2つあります。1つめは、似た症状の出る別の病気との見分けが必要なことです。「中心が暗い・ゆがむ」という症状は、加齢黄斑変性黄斑上膜など、治療方針の異なる病気でも起こります。2つめは、水分がたまった状態が長く続くと、見え方の質が戻りにくくなることがあるとされている点です。

  • 視界の中心の暗さ・小ささ・ゆがみに気づいたら、まず一度受診する
  • 経過観察中は、指示された間隔で検査を受け、水分の引き具合を確認する
  • いったん良くなったあとも、同じ症状が再び出たら早めに受診する
  • 急にゆがみが強くなった・急に視力が下がったときは、様子を見ずに受診する

この病気が多い30〜50代は、仕事や家庭で忙しく、受診を後回しにしがちな世代でもあります。当院は平日16時45分まで受付、土曜日も診療していますので、お仕事の合間にもご相談いただけます。黄斑をはじめとする目の奥の病気の全体像は眼底疾患のページをご覧ください。「かすんで見える」「ぼやける」という症状が気になる方は、目がかすむ・ぼやけるのページも参考にしてみてください。

よくあるご質問

自然に治ることが多いと聞きました。受診しなくてもよいですか?
中心性漿液性脈絡網膜症の多くは数か月ほどで自然に軽快するとされていますが、加齢黄斑変性や黄斑上膜など、似た症状が出る別の病気と見分ける必要があります。また、水分がたまった状態が長く続くと見え方の質が戻りにくくなることがあるとされ、経過を確認しながら見守ることが大切です。自己判断で様子を見ずに、一度ご受診ください。
ステロイドの薬を使っています。自分でやめたほうがいいですか?
ステロイド薬(飲み薬・点滴・塗り薬など)はこの病気との関連が報告されていますが、治療に必要なお薬を自己判断で中止すると、もとの病気が悪化するおそれがあります。必ず処方している医師にご相談ください。当院からも、必要に応じて眼科としての情報提供を行います。
一度治っても、また再発しますか?
中心性漿液性脈絡網膜症は、軽快したあとに再発することがあると報告されています。「中心が暗い」「小さく見える」「ゆがむ」といった症状に再び気づいたときは、早めにご受診ください。定期的な検査で経過を確認していくことも大切です。
レーザー治療は当院で受けられますか?
当院で診察・検査を行い、レーザー治療など専門的な治療が必要と判断した場合は、連携する医療機関をご紹介します。紹介後の経過観察は当院で継続して行いますので、通い慣れた環境で治療を続けていただけます。

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