- ものが見えにくい、視野の一部が欠けて見える
- ものが二重に見える(特に上下を見たとき)
- 強い痛みが続く、目を開けていられない
- 出血している(目の表面からの出血、黒目の内側に血がたまって見える)
- 吐き気・嘔吐を伴う(特にお子さま)
- まぶたが深く切れている、何かが刺さっている
当院の診療時間内であれば、お電話(050-1720-0692)のうえ、できるだけ早くご来院ください。夜間・休日などの診療時間外にこれらの症状がある場合は、様子を見ずに救急外来の受診や、お住まいの地域の救急相談窓口への相談をご検討ください。
まず行ってほしい応急対応
目をぶつけた直後は、目の中の状態がまだ安定していないことがあります。次の点に気をつけてください。
- 目をこすらない——傷を広げたり、目の中の出血を悪化させたりする恐れがあります
- 眼球を圧迫しない——まぶたの腫れを冷やす場合も、清潔なタオルを目の周りに軽く当てる程度にとどめ、眼球を押さえつけないでください
- 何かが刺さっている・切れている場合は、触らない・抜かない・洗わない。そのまま速やかに救急を受診してください
- コンタクトレンズは、簡単に外れないときは無理に外そうとしないでください
- 見え方に異常がなくても、強くぶつけた場合は一度検査を受けておくと安心です
目をぶつけたとき、目の中で起こりうること
眼球はまわりを骨(眼窩=がんか)に囲まれて守られていますが、ボールや肘、転倒などで強い衝撃が加わると、目の表面だけでなく、目の中や周囲の骨にまで影響が及ぶことがあります。ここでは代表的なものを平易にご説明します。
前房出血(ぜんぼうしゅっけつ)
黒目(角膜)と茶目(虹彩)の間には「前房」という透明な水で満たされたスペースがあります。打撲で目の中の血管が切れると、この前房に血がたまることがあり、外から見ると黒目の下のほうに血が沈んで見えることがあります。出血の量によっては見えにくさを感じます。前房出血では目の圧(眼圧)が上がることや、数日以内に再出血を起こすことがあるとされており、安静と眼科での経過観察が大切です。
眼窩底骨折(がんかていこっせつ)
眼球が収まっている骨のくぼみ(眼窩)のうち、底にあたる骨は非常に薄く、ボールや肘が当たった衝撃で折れることがあります。骨折した部分に目を動かす筋肉やまわりの組織が挟まると、上や下を見たときにものが二重に見える、目が動かしにくい、頬から上唇にかけてしびれる、といった症状が出ます。お子さまでは、外見の変化が少ないのに目の動きの制限や吐き気・嘔吐が目立つことがあると報告されており、見逃されやすい骨折として知られています。診断にはCT(断層撮影)が必要になるため、疑われる場合は検査・治療が可能な連携医療機関をご紹介します。
網膜振盪(もうまくしんとう)・網膜裂孔(もうまくれっこう)
目の奥には、カメラのフィルムにあたる「網膜」という膜があります。打撲の衝撃が目の奥まで伝わると、網膜が一時的にむくんで白っぽくなることがあり、これを網膜振盪といいます。見えにくさを感じることがありますが、多くは時間の経過とともに回復するとされています。
一方で、衝撃によって網膜に穴や裂け目(網膜裂孔)ができることがあります。裂孔を放置すると、そこから網膜がはがれる網膜剥離(もうまくはくり)に進行する恐れがあります。注意が必要なのは、裂孔や剥離がけがの直後とは限らず、数週間〜数か月たってから起こることもあると報告されている点です。ぶつけたあとに、黒い点や糸くずのようなものが急に増える(飛蚊症)、光がピカッと走る(光視症)、視野の端にカーテンがかかったように見える、といった症状が出たら、すぐに受診してください。
飛蚊症・光視症について詳しく見る 網膜剥離について詳しく見る
そのほかに起こりうること
目の表面のすり傷(角膜びらん)、目の中の炎症(外傷性虹彩炎)、レンズの役割をする水晶体のずれや濁り(外傷性白内障)、まぶたの切り傷などが起こることがあります。角膜のすり傷は強い痛みやゴロゴロ感、涙目の原因になります。痛みが続く場合は我慢せずご相談ください。また、外傷性白内障のように、けがからしばらく時間がたってから水晶体の濁りが進んでくることもあるとされており、打撲のあとに見えにくさを感じたら、時期を問わずご相談いただくことが大切です。
当院での検査
まず視力検査・眼圧検査で目の基本的な状態を確認し、細隙灯顕微鏡(さいげきとうけんびきょう)という機器で、角膜の傷や前房の出血・炎症の有無を拡大して調べます。目の動きや二重に見える方向の確認も行います。さらに、必要に応じて瞳孔を広げる目薬を使う散瞳検査で、目の奥の網膜に傷(裂孔)やむくみがないかを確認します。
※散瞳検査のあとは数時間まぶしさ・見えづらさが続くため、お車・バイク・自転車での来院はお控えください。散瞳検査は午前12時まで・午後16時までの受付にご協力をお願いします。
眼窩底骨折が疑われる場合など、CT検査が必要なときは、撮影が可能な連携医療機関をご紹介します。
治療の考え方
治療は、けがの種類と程度によって異なります。角膜のすり傷や軽い炎症に対しては、点眼薬・眼軟膏による治療と経過観察を行います。前房出血では、安静を保ちながら点眼治療を行い、眼圧の変化や再出血がないかを確認していきます。網膜振盪は経過とともに回復が期待されるため、目の奥の状態を定期的に確認します。
眼窩底骨折の整復手術、網膜裂孔へのレーザー治療、網膜剥離の手術など、専門的な治療が必要と判断した場合は、当院で診察・検査を行ったうえで、連携する医療機関をご紹介します。紹介後の経過観察は当院で継続して行いますので、通院の負担を抑えながら治療を進めることができます。
受診の目安
- 見えにくい・二重に見える・強い痛み・出血のいずれかがある → すぐに受診(診療時間外は救急外来のご検討を)
- 症状は軽いが、ボールが直接当たった・強く転倒したなど衝撃が大きかった → 当日〜数日以内に一度検査を
- ぶつけたあとしばらくしてから、飛蚊症の増加・光視症・視野の欠けが出てきた → すぐに受診
目の打撲は「その場で見えていたから大丈夫」とは言い切れないけがです。特に網膜の傷は自覚症状がないまま進むことがあるため、強くぶつけた場合は、症状がなくても一度目の奥まで確認しておくことをおすすめします。
けがを防ぐために
野球・サッカー・バドミントンなどの球技では、ボールやシャトルが目に当たる事故が起こりえます。スポーツの際には、競技に応じた保護用のアイガード(スポーツ用保護メガネ)の使用が勧められています。特に片方の目の視力が弱い方や、過去に目のけが・手術をしたことがある方は、残された見える力を守るためにも保護具の使用をご検討ください。また、小さなお子さまのいるご家庭では、机の角など目の高さにある鋭い角への対策や、先のとがったおもちゃ・文房具の扱いにもご注意ください。
